脊柱管狭窄症と間違われやすい「筋・筋膜性疼痛症候群」

脊柱管狭窄症と間違われやすい「筋・筋膜性疼痛症候群」

脊柱管狭窄症などの腰痛とよく似ていることから、誤診されることが多い病気に「筋・筋膜性疼痛症候群(MPS:myofascial pain syndrome)」というものがあります。

筋・筋膜性疼痛症候群は、筋肉の炎症が原因となって痛みやしびれを引き起こす病気で、日本では筋痛症とも呼ばれることもあります。

重いものを持ったり、長時間の同じ姿勢、筋肉に負担のかかる姿勢で負荷をかけると、筋肉に僅かですが損傷が発生します。いわゆる筋肉痛の状態です。

通常、筋肉痛というと、一般的に数日程度で痛みがおさまるものですから、軽く考えてしまいがちです。
その為、さらに繰り返し筋肉に負荷をかけ続けたり、心身のストレスによって自律神経のバランスを崩してしまったり、冷え、などで血行の悪い状態を作ると、その部分が痙攣状態になり短期間で自己回復できなくなります。
この状態が筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)になった状態です。

筋・筋膜性疼痛症候群のしこりは、酷いものだと手などで圧迫しただけで激痛を感じるようになります。
さらに、痛みはしこり以外にも関連痛として広範囲に広がるというのが筋・筋膜性疼痛症候群の特徴です。

脊柱管狭窄症などの腰痛も、発症の大元には筋肉への過負荷が原因であり、そこから椎間板の変形などで神経根を圧迫し、酷い腰痛や下肢のしびれを発症させています。

筋肉の損傷は、様々な筋骨格系疾患を引き起こすものですから、筋肉痛・筋肉疲労だからといって侮ることはできません。

ただ、筋・筋膜性疼痛症候群が脊柱管狭窄症などと違ってくるのは、筋・筋膜性疼痛症候群の場合、痛みのポイント自体も筋肉のなかにあるという点です。

筋・筋膜性疼痛症候群は、筋肉の中にしこりが出来て、激痛の発生源となっています。
筋・筋膜性疼痛症候群は、しこりのことを「トリガーポイント」と名付けています。

下半身や背中に強い痛みがあり、脊柱管狭窄症か椎間板ヘルニアを疑ってレントゲンをとっても、腰椎周辺に異常が見られず、しばらく痛み止めなどで対処していたら、じつは筋・筋膜性疼痛症候群だったという症例が日本でも増えています。

この病気は1980年代にアメリカで『Travell & Simons’ Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manual (筋筋膜性疼痛と機能障害: トリガーポイントマニュアル)』という医学書にて発表され、診断基準が発表されたのは1990年のことです。

したがって国内での認知度はまだ低いという面がありますが、『JMPS筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)研究会』が発足し、筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)に精通している医師も少しずつ増えてきています。

原因のつかめない腰痛や背中などの痛みで悩んでいる方は、筋・筋膜性疼痛症候群を疑ってみる必要があるのですが、筋・膜性疼痛症候群(MPS)であるかどうかを知るためには、筋・膜性疼痛症候群の診断、治療を行っている医療機関で診断をしてもらう事が必要なのです。

筋・筋膜性疼痛症候群は、筋肉の痙攣部位に局部麻酔注射「リガーポイントブロック注射」をするとにより、筋肉の痙攣を解き、血流を改善する方法で治療を行います。

診断では、トリガーポイントを正確に触診できるかが重要なカギとなります。
国内でも、筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)を正しく診断出来る医師が今後さらに増えていくことに期待したいところです。