頚髄疾患と腰部脊柱管狭窄症の併発

頚髄疾患と腰部脊柱管狭窄症の併発

高齢化にともなって、近年では頚髄症患者にも腰部脊柱管狭窄症が認められるケースが少なくありません。

ある研究では、頚髄症による手術において脊髄造影から腰椎疾患の合併を調べてみたところ、同時合併ではありませんが200例中30.5%が過去に腰椎手術を受けており、78例で軽い神経根嚢欠損が、1椎間以上で認められ、100例で椎間板の膨隆と神経根嚢像の欠損を1椎間以上で認めることができました。
さらに8例では腰部脊柱管狭窄症を、7例で腰椎すべり症を確認できています。なお、椎間板の膨張などの著しい変性や、脊柱管の狭窄、すべりが認められた高位はL4-5が110例、L5-S1が90例、多椎間が8例であったということです。

この調査案件中22例では、脊髄造影上、明らかな異常を認めることができませんでしたが、程度の違いはあるものの、頚髄患者の多くに何らかの腰椎異常が重なっている可能性があることは否定できないと言えるのではないでしょうか。

なおこの研究からは、もうひとつ重要な傾向を見つけ出すことができました。それは多椎間の頚椎症患者において、腰部椎間板障害の発生頻度が高いということです。

また別の報告では、頚髄症で手術を施行した350例中、脊髄造影で胸・腰椎部にも明らかな狭窄が認められたのが27.2%であり、症状としては上肢症状よりも下肢症状のほうが多く、下肢腱反射の低下も20.6%に認められています。この報告からも、頚髄疾患があり下肢腱反射の亢進が低下している場合は、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどの腰椎疾患が発症している可能性も考慮しなければならないと言えるでしょう。

なお頚髄疾患のある方が脊柱管狭窄症も併発している場合は、下肢痛やしびれの有無がひとつの目安となります。ただし頚髄疾患でも下肢痛がありますので(頚髄疾患の場合は腿の内側にあらわれることが多い)、症状があらわれる部位の違いや下肢腱反射の反応が手がかりとなる場合があります。